大会長挨拶
このたび、第32回日本看護診断学会学術大会を2026年7月18日(土)~19日(日)の2日間、京都府立京都学・歴彩館、稲盛記念会館にて開催する運びとなりました。大会長を拝命いたしました、京都府立医科大学の吉岡さおりと申します。京都での開催は4回目となりますが、第30回の記念大会を経た新しい時代の学術大会を京都の地で開催する機会を頂き、大変光栄に存じます。本学会の会員の皆さま、関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。 本学術大会のテーマは「新時代の看護のかたち~看護の質保証に向けて」といたしました。大会テーマにある「新時代」とは、社会情勢、医療情勢が変化した現代において、高度急性期医療の発展、在院日数の短縮化、クリニカルパスの普及、地域包括ケアの推進に伴う地域完結型医療への変革、さらに、AIなど新しいテクノロジーの進化によるDXの加速化など、医療や看護を取り巻く環境や技術、考え方や価値観の変化を迎えた時代を意味します。
このような状況において、ラベルとしての看護診断を看護記録システムから外す施設も多くなっている現状があります。その一方で、看護診断は単なるラベルではなく、看護の現象をとらえた共通用語、看護介入の選択根拠であり、看護の思考に基づく臨床判断のプロセス、看護過程そのものであるといえます。このことから「看護のかたち」とは、看護の現象を概念化・可視化して「かたち」にすること、そして、看護の対象となる人々の物語を看護の専門性と紡ぎながらケアを創造(かたちに)していくことをさしており、今こそ看護診断の意義や重要性を再考する時期であると考え、本大会のテーマとしました。そしてこれらについて皆さまと共に考えていくことにより、看護の質保証につながるものと考えております。
大会プログラムにおいては、「看護のかたち」「看護の質保証」を哲学的視点や組織行動論から読みとく特別講演、AIの活用による看護の質保証に関する教育講演、新時代の看護記録システムに関するシンポジウムなど、明日からの教育・実践・研究に活用できる内容を企画しております。看護の質を保証し、看護の独自性、専門性を次世代につなぐ看護過程について多様なアイデアや知識を共有する場となりますよう、委員一同皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げます。
2025年8月吉日

第32回日本看護診断学会学術大会
大会長 吉岡 さおり
京都府立医科大学大学院
保健看護学研究科