理事長挨拶

GREETING

佐藤 正美 理事長

 本学会は、1991年に前身である「看護診断研究会」の発足を経て、1995年に第1回学術大会が開催されました。当時の日本看護診断学会は、「看護診断」という概念を社会に浸透させ、共通用語として「NANDA-I看護診断」の普及に大きな役割を担ってきました。看護診断とは、看護計画立案につなげるためにアセスメントから看護の焦点となる問題や強みを導く、その思考過程のことです。したがって看護診断とは、NANDA-Iが提唱する看護診断名をつけることではありません。アセスメントから導いた看護診断によって看護成果そして看護計画が設定され、実践そして評価と一連の看護過程を踏みます。すなわち看護診断は、看護専門職として看護実践を導く思考そのものです。

 現在、日本における医療提供体制は大きく変化しました。超高齢化で少子化が進む中、「病院完結型」ではなく地域全体で支える「地域完結型」へ向かい、地域包括支援ケアシステムが構築されて推進されてきました。その中で、看護診断が果たす役割は何でしょうか。病棟・外来・地域・職場・学校・在宅など対象者の生活の場で、医療職や介護福祉職とともに、看護職は生活を支える医療専門職として力を発揮することが求められています。すなわち、多職種と連携しケアを提供するには、「看護の思考」である看護診断を必要としています。病院では入院期間がますます短縮化し、アウトカム思考で医療が展開しています。ケアを受ける人が気がかりなことや望むことに焦点をあて、その人の持つ力が高まるように看護を提供するには、医学モデルではなく看護モデルの思考が必要です。そのためには、“看護あたま”で対象をみる思考が必要であり、それを支えるのが看護診断だと考えます。このように医療・福祉の体制が大きく変化している中、会員の皆様のニーズに沿った活動を推進する必要があると考えWebにて調査を実施しました。その結果は学会誌でも報告いたしました。(看護診断 Vol.29 No.1 pp.32-36)。

 ようやくリニューアルできましたこのWebサイトをプラットフォームにして、今後は様々な情報を発信してまいります。また同時に、会員の皆様へ情報を電子メールで一斉配信するシステムもようやく整いました。確実に情報をお届けするために、ご自身のメールアドレスの登録が不明な方は事務局までご連絡ください。ご協力のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。